医療だけでは

終末期の問題をどうするか。

 

 

いつかは考えなきゃ、

でも、いつか、でいいかな。

 

 

考えて楽しいことでもないし。

 

 

何とかこうした問題を広く知ってもらうために、

厚労省も動き始めました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00775.html

なんと小藪さんも選考委員に入っているそうな。

 

 

私の父も来年、節目の年齢になります。

そういう話を一度しなくちゃなぁ。。。

やっぱり楽しい気分にはならないですね。

 

糸井さん、何度か終末期の問題に触れてくださっていますが、

こういう医療じゃないコンテンツが大切になるんだと思います。

医療業界がどんなに頑張ったところで、

一般社会への影響力はほんの数%に過ぎない。

行政、地域のコミュニティ、商業などなど、

いろんな方面からアプローチしないと、

本当に大切な情報をきちんと広めることは難しい。

 

私は医療従事者なので、

まずは目の前の方にきちんと情報を伝えること。

それが徐々に周りの人に広がって、世界が変わっていく。

気の長い話ですが、頑張ります。

 

医療以外のつながりがもっとできると面白いんだろうな。


www.1101.com

もしもの時の119番

朝起きて、いつものようにおじいちゃんを起こしに行くと、

声をかけても返事がない。

ゆすっても反応しない・・・息をしてない!

 

どうしようどうしよう、、、、

とりあえず、救急車だ!119番!!

 

 

この後、どんなことが起きるか、

想像つきますか?

 

 

 

救急隊がやってきて、呼吸と脈を確認して、

もしもすでに”死の徴候”があれば、不搬送となります。

(つまり、もう亡くなってしまってから時間がたっているので、

 医療的にはなにもできることがないので、救急搬送しない。)

 

ただ、救急隊員が明らかに死の徴候がある、と判断できるケースは多くなく、

そうでなければ、すぐさま”心臓マッサージ(胸骨圧迫)”が始まります。

”人工呼吸”の代わりに、マスクで酸素を送り、

受け入れ病院を探して急行します。

 

この間、胸骨圧迫は休みなく行われます。

救急隊によっては、胸骨圧迫を行う専用の機械を持っていて、

ガシャコン、ガシャコンと胸を圧迫しながら、運ばれることもあります。

資格があれば、直ちに点滴を取ります。

 

病院についたら、モニターにつないで、

胸骨圧迫、マスク換気を続けながら

検査をしたり、情報収集をしたりと状況の把握を行います。

 

場合によっては、この間に

気管挿管”といって、ノドに酸素を送るための管を入れてしまうこともあります。

 

そうして、”電気ショック”や薬を使いながら、

治療を試みます。

 

こうして、無事息を吹き返す方もいますが、

その確率はどのくらいでしょうか?

 

a) 病院に運んだんだから、全員!

b) 半々くらい・・・2人に1人

c) 病院でもむずかしいのかな、10人に1人?

 

 

正解は・・・

どれも不正解!

 

70歳以上では心肺停止状態で救急搬送された人のうち、

倒れた瞬間の目撃者がいて、70~79歳の男性、

が最も1か月後の生存率が高く、7.7%。

 

目撃者がいない場合や女性、もっと高齢の方では、

更に蘇生できる確率は低くなってしまいます。

 

社会復帰できる確率がさらに低くなるのは言うまでもありません。

 

 

今回は、心肺停止で救急車を呼んだその後を

簡単に紹介しました。

次回はこうした救急搬送に関して問題になっていることを

検討してみたいと思います。

人生の最終段階

終活、大きな話題になりましたよね。

 

エンディングノートといって

人生の最終段階に向けて、

準備をしたり、必要な情報をまとめたりするノートも知られるようになりました。

市販のものだけでなく、

インターネットでダウンロードできるものもあり、

手に取ってみた方や使ってみた方も多いかもしれません。

 

相続や葬儀、手続き関係など

いざという時に必要な情報を書き込んだり、

自分の大切にしているものや思い出の写真など、

”自分史”をつづるページがあったり、

内容はものによってそれぞれです。

 

その中で、医療についてのページも

(おそらくほとんどのものに)あるようです。

 

最近は、管にたくさんつながれて死ぬのは嫌だな、

と思う人も増えてきているようです。

ただ、医療関係者でない方が、

いよいよ具合が悪くなった時に具体的にはどんなことが起こるのか

元気な時から想定して、意思表示をするのは難しいのではないか、と思うことがあります。

 

ちょうど今月(2018年3月)、国(厚生労働省)が作っている

「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン

というものが改訂されました。

「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について |報道発表資料|厚生労働省

長い名前で、いかにもとっつきにくいですね!

(ちなみに、終末期医療、という言い方はやめにして、

 人生の最終段階、という言葉が選ばれています。)

 

中身はいったいどんなに長くて複雑で難解なものか、

と身構えてしまいますが、実はそんなに長くありませんでした。

(実質:本文2ページ、解説付きで6ページ)

 

1 病院だけではなく、在宅医療・介護の現場でも話し合おう

2 本人の意思は変化するものだから、人生の最終段階について日頃から繰り返し話し合うACP*が大切
3 自分の意思を伝えられなくなる前に、自分の気持ちを代弁してくれる信頼できる人を決めよう
4 単身世帯(私を含め 笑)が増えるので、依頼する相手は親しい友人など、家族以外でもOK

5 話し合った内容は文書にして、本人、家族、サポートチームで共有しよう

*ACP:Advance care planning、人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス

 

ACPで話し合うべき具体的な中身を決めている、というものではなく、

こうした話し合いをする時の心構えを書いているものですね。

 

私個人としては、少なくとも介護保険を申請/更新するときに、

一度こういった意思の確認の機会を設けるべきではないかな、と感じています。

将来的には介護保険を使う時には必須にしてもいいのでは、とすら思っています。

 

体調に変化があった、

病気が見つかった、

介護が必要になった、

家族構成が変わった、  等をきっかけに、

ぜひ一度将来について、身近な方と話してみてください。

 

私の家族にも、

 少しでも長くいきたい、

 将来の技術の進歩できっと永遠の命に近いことが可能になるはずだから、

 もし死んだとしても、すぐ冷凍保存して、将来復活できるようにしてほしい

というタイプもいますし、

 ちょっとでも見込みのなさそうな病気がみつかったら、

 一切積極的治療はやめて、自然に身を任せたい

というタイプもいます。

 

この二人が、事前の話し合いの機会がないまま、

お互いの「人生の最終段階」の意思決定を任されたら、

とんでもない悲劇が起こりそうですよね。

 

では、どんなことを具体的に話し合うべきか、

どんな背景知識があれば、意思決定に役立つかについて、

今後ご紹介したいと思います。

Life Care開設!

「老年医学」という言葉、

お聞きになったことありますか?

 

消化器内科や耳鼻科と比べるとなじみがない、

はじめて聞いた、という方がほとんどではないかと思います。

 

この文章を読んでいるあなたもいつか経験する

高齢者」としての自分。

楽しく、軽やかで、明るくあってほしいですよね。

 

そのために、健康・医療の立場からお手伝いをするのが

「老年医学」です。

 

駆け出しの老年内科医が、日々の学びの成果を

出来るだけわかりやすく、

出来るだけ科学的に正しく、

お伝えするために、ブログを始めたいと思います。

 

認知症ってなんだか怖い

・死ぬときは楽に死にたい

・いつまでも自立していたい

 

などなど、

誰しも老年医学に関して、実は考えていることがあるはずです。

少しでも皆さんのお役にたてればうれしく思います。